カセットコンロに他メーカーのカセットボンベは使えるのか?

僕がキャンプで通常使うガス機器は、カセットコンロ1台だけです。
※ ガスのシングルバーナーもたまに使いますが。。

カセットコンロに使うカセットガスですが、どうしていますか?

使っているカセットコンロに、他メーカーのガスボンベを使うことについてですが、これは基本的にダメです。

カセットコンロの本体や説明書の表示を見てみましょう。

指定以外のボンベを使ってはいけないと書いてあると思います。(日本国内で合法的に販売されているものであれば)すべての製品かその説明書にこのような表記があるはずです。

とはいえ、ホームセンターなどで安く売っている、コンロメーカー以外のボンベも実際に使えてしまうことは皆知っていますね。
中には、使っても問題ないと言い切っているサイト記事もありますね。(勇気あるなぁ。。)

そもそも普通に考えれば、他メーカーのボンベを使ってはいけないのなら、他メーカーのボンベが使えない構造にすればいいのに、なぜそうしないの?
1本100円くらいで売っているようなボンベは、どこのメーカーのコンロでも使用を認められていないのに、なぜ売っているの?

一体どうなっているのでしょうか? 僕も気になったので調べてみました。

カセットコンロ・ボンベのJIS規格

多くのカセットコンロ・バーナーやボンベは、それぞれJIS規格に準拠した造りになっています。

具体的には、カセットコンロはJIS S 2147、ボンベはJIS S 2148に該当します。

これらのJIS S 2148には、ボンベの寸法も規定されいます。他メーカーのボンベであっても使えてしまうのは、このJIS規格通りに作られているためです。

ところでこのJIS規格ですが、各所の寸法には許容される範囲があります

例えば、ボンベの高さは185.2±0.6mmとなっています。つまり、JIS規格準拠のボンベでも、その高さは最大1.2mmの差があり得るということです。1.2mmって結構な違いですよね。。

例えば、A社のボンベが高さ184.8±0.2mm、B社のボンベが185.6±0.2mmで製造されていても、どちらもJIS規格準拠品になるというわけです。

各メーカーのボンベに、微妙な寸法の違いがあり得るとはいえ、そのサイズには大体の互換性があることはわかりました。
それでは、なぜコンロメーカーは他メーカーのボンベを使うことを認めていないのでしょうか?

ガス適合性検査

略して”ガス検”などと呼ばれることもあります。

カセットコンロやその他ガスボンベを使うバーナー類を日本国内で販売する場合は、適合性検査に合格したものであることが義務付けられています。

この適合性検査により、法令(カセットコンロの場合は「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」)に定められる安全性を確保できることを、試験で確認されています。

ガス検に合格している製品は、以下の日本ガス機器検査協会のこちらのページで、品名に「カートリッジガスこんろ」を選択して検索するとわかります。(2021年7月20日時点で129製品)

ガスコンロでは圧倒的なシェアの岩谷産業が見当たりませんね。代わりに目立つのが旭製作所というところです。
調べてみたところ、岩谷産業のガスコンロを製造しているメーカーが旭製作所なのだそうです。そして、ほとんどの製品が国内製造なんですね。これは意外でした。モンベルが輸入・販売していると思っていたJetBoilが、モンベルの国内工場になっているのですが、これはどういうことなのかよくわかりません。

ちなみに、このガス検を受けていない製品もネットなどで販売されていますが、これは違法のはずです。

楽天やアマゾンも以前は無法地帯でした。最近はちょっとはチェックするようになったのか、かなり減ってきましたけど。

キャンパーに人気のこの製品(2019年9月時点ではガス検なし)も入手困難になるときが来るのか。。。

僕が調べた範囲では、これらの商品を(売るのは違法だけど)購入したり使ったりすることは違法ではなさそうです。違法じゃなきゃいいってもんでもないとは思いますけど。。
 

ところで、このガス検の試験におけるガスボンベの位置づけとして、重要なことがあります。

以下は、経産省による「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律及び関係政省令の運用及び解釈の基準について」(リンク)からの引用です。

関連する法令等をすべてたどるときりがないので、ちょっと唐突な引用ですがご容赦ください。

3 条(液化石油ガス器具等)及び第 4 条(特定液化石油ガス器具等)関係
1 . 別表第 1 第 2 号イ及び別表第 2 第 1 号中、「容器が部品又は附属品として
取り付けられる構造のもの」のうち、「容器が部品として取り付けられる構
造のもの」とは、次の構造のものをいう。
① 容器が組み込まれる構造のもの
② 容器に燃焼器を直接取り付ける構造のもの( ① を除く。)
③ 内容積が 5 リットル以下の容器と燃焼器を硬質管以外の管によって接続
する構造のもので、当該燃焼器と硬質管以外の管の接続方法がホースエン
ドによる差し込み式以外の方法のものであり、かつ、当該容器に日本工業
規 格 B 8 245 ( 2004 )液化石油ガス容器用弁に定める規格の適用を
受ける弁を使用しないもの
— 以下略 —

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律及び関係政省令の運用及び解釈の基準についてより引用

かなりわかりにくいですが、要するにカセットボンベはカセットコンロの“部品”という扱いです。

部品なので、当然その試験はコンロとボンベを一体のものとして扱います。つまり、ガス検の試験は、特定のコンロとボンベの組み合わせだけで安全性を確認していることになります。

言い換えますと、JIS規格を満たすどのボンベ(他社のボンベなど)を使っても安全であるかどうかについての試験は行われません

JIS規格を満たすものでも、その寸法などに違いがあることは先に説明しました。

一方安全性の試験は、特定のコンロとボンベの組み合わせでしか行いません。

つまり、他メーカーの(微妙に寸法が違ったりするかもしれない)ボンベを使った場合に何が起きるかは確認されていません。(おそらくメーカー独自にある程度のテストはしていると思いますが、自社で品質等をコントロールできない他社の製品との組み合わせを保証することはできないんでしょうね。)

これが、コンロメーカーが指定外のボンベの使用を認めていない理由です。

結局他メーカーのボンベは使えるの?

使えるかもしれないけれど基本的には使ってはいけないっていうのが僕の考え(建前)です。人に聞かれたらこのように答えます。

ガスボンベは指定のもの以外使うなっていうことも、説明書には結構明確に書いてあるのには、先に述べた理由があることもわかりましたし。(そしてその理由はリーズナブルだと僕は思います)

ただし、災害時など、緊急を要するときにメーカー指定の物が手に入らない場合などに、使っちゃえっていうのはありだと思います。
っていうか、他メーカーのボンベでも大体は使えるようになったのって、阪神大震災を機にボンベの互換性を高めるよう、JISの規格を見直したからなんだそうです。
※ だったらガス検のほうでもコンロとボンベの相互利用での安全を確認できるように試験方法を対応させてくれよって、強く思いますが。。。 コンロメーカーの意向が働いているのかな。

ところで、富山県のホームページで「カセットコンロのテスト結果」というものが公開されいるのをみつけました。

その中で、専用ボンベ以外のボンベを使った場合のガス漏れについてテストした結果が示されていますので、以下に引用します。

④ 専用容器以外の容器装着でのガス漏れの有無
カセットコンロに使用すべき容器として指定された専用容器以外の容器を装着してのガス漏れの有無は、9銘柄のうち4銘柄で、微量ではあったが、ガス漏れが生じた。
各メーカーの取扱説明書にも記載されているが、消費者は、専用容器以外の容器を使用することがないよう十分な注意が必要と思われた。

カセットコンロのテスト結果より引用

微量ではあるが9銘柄中4銘柄でガスが漏れた

とらえ方は人それぞれかもしれませんが、僕の感覚ではかなりの高確率でガス漏れの恐れがあるという結果です。
(純正品でもそうですが)何らかの事情で他社のボンベを使用せざるを得ない場合、未使用時にボンベをつけっぱなしにするのだけは絶対に避ける必要がありますね。微量でも漏れ続ければかなり危険ですからね。

実を言うと、僕は今までメーカー指定以外の安いのを使っていました。

それが今回少し調べた結果、今後はコンロメーカー指定の物を使うことになると思います。

僕の場合は、カセットコンロってキャンプでしか使わないし、考えてみればメーカー指定の物を使っても高々数百円の差なんですよね。

キャンプ/アウトドアや災害時に使いやすいカセットコンロについて、こちらの記事をどうぞ

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KANI

キャンプ好きサラリーマン。歴は長いけど最近キャンプの機会は激減中。
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コメント

  1. 96chang より:

    私が使用しているカセットガスストーブには必ず「イワタニカセットガス」専用ボンベを使用して、と書いてありますが純正はとても高い。
    韓国製「アイ・ボンベ」は岩谷グループの「アイ・システムネットワーク」が販売していますが、工場を持たない営業だけの会社なので岩谷がボンベの設計・指導をしている製品と思われます。
    イワタニカセットコンロの「ヒートパネル方式」は岩谷産業の特許と思われますが、「アイ・ボンベ」専用コンロの「アイ・コンロ」にも同一構造が使われています。
    そういう理由で「アイ・ボンベ」はとても安価ですが、多分同一規格のボンベと勝手に信じて使用しています。
    このような切り口でも調査されましたか?

    • KANI KANI より:

      そうなんですよね。イワタニ純正は高いんですよね。
      > このような切り口でも調査されましたか?
      結論から言うと調査していませんでした。そして、このコメントを頂いてから少しググってみたのですが、ちょっとわかりませんでした。
      残念ながら「アイ・ボンベなら使っても問題ないですよ」と言えるような情報はないです。
      まあ、イワタニのほうで純正以外認めていないので、僕が勝手に「使っても良い」とは言えないわけですが。。

  2. Hiro より:

    「イワタニ純正は高い」のにはブランド価格以外にも理由があり成分が違います。
    安いCB缶はノルマルブタン100%
    イワタニカセットガス(オレンジ)はノルマルブタン70%、イソブタン30%
    使える機種が限定されますがイワタニカセットガス パワーゴールドはノルマルブタン30%、イソブタン70%
    ノルマルブタンの沸点が-0.5度なので使用中の気化熱による温度低下を考慮すると使える気温が10度以上が目安になります。
    イソブタンだと沸点が-11.7度なのでより低温でも利用できる可能性が高くなります。
    イソブタンは気化するがノルマルブタンは気化しないような状況だとイソブタンしか使い切れないので、缶を振るとまだまだ残があるのに着火しないこともあります。
    OD缶のほうがプロパンやイソブタンがより多く入ったパワーガスなどと呼ばれるものもありますが、CB缶でもイソブタン95%のような製品も存在します。

  3. chinpo より:

    うそつき

    • KANI KANI より:

      そんな冷たい言い方しないでくださいよぉ

      ただ、記事の内容に間違いがあるのでしたら申し訳ありません。
      誤りをご指摘いただけますとありがたいです。

      • ガス検アホ野郎 より:

        やはりコンロメーカーのドンである岩谷(=旭製作所)がガス検と癒着してるんでしょうね。コンロの国内製しか認めていないのは、旭製作所のガバナーを使用していないとガス検配達認可しません。コンロメーカーは違ってもガバナーは全て旭製作所製なんですよ。これって普通に考えるとおかしいでしょ⁉︎でもこんなことが罷り通る世界です。乾電池のように一定のJIS規格で東南アジア製の安かろう悪かろう品が流入すると事故が起こるのを防いでいるとガス検等は説明するらしいですが時代錯誤も甚しい事情です。私から言わせてもらうとガス検も岩谷の顔色を伺いながら美味しい汁を吸いあっている業界なのかなと思います。

  4. ben より:

    (何度も同じコメント(御礼)を投稿してごめんなさい。認証制なのかどうか、投稿できたのかどうかわからなかったので、3度目のこれが最後です)
    ありがとうございました。
    全くの素人です。
    カセットボンベを使う各製品には、自社のボンベ”だけ”を使えと、やけに明確に書いてあるのですが(普通だったら自社のボンベを「お使い下さい」とか「推奨します」とかせいぜい「それ以外は責任を持てません」程度かな?という感覚だったので)、実は安売りのボンベを使っているので、ちょっと不安には思っていました。
    この記事で理由を説明していただき納得です。建前と、それ以外の部分についても、お考えを聞かせていただいて、なおさら納得です。
    我が家のはイワタニのコンロなのですが、やっぱりイワタニのカセットボンベを使おう!とは、たぶんこれからも価格的にならないとは思うのですが、そうしないことの意味を重々承知した上で使いたいと思いました。

    • KANI KANI より:

      大変申し訳ありません。認証が遅くなってしまいました。
      ※ 現状、各記事に対して初回コメントは認証制。2回目以降は認証なしです。

      そうですね。
      ボンベのメーカーを合わせている人のほうが少数派だと思いますし、実際他メーカーのボンベを使用したのが原因の事故って、聞いたことありません。

      個人的には、ガスボンベの問題よりも(少なくとも日本の基準で)安全が確認されていない海外製のカセットコンロなどがネットなどで販売されちゃっていることのほうが大きな問題だと思っています。

  5. 寺本 明生 より:

    以下のサイトで引用した様な記述がありました。JIS規格の改定が、記述されたとおりの趣旨でなされているのなら、国内のメーカーがJIS規格に従って製造している限り、少なくもこの改訂以降に製造・販売された製品であれば、メーカーとしては推奨できないが『自己責任』で使えると判断して差し支え無さそうです。メーカーにしてみれば、他社のカセットボンベに責任負えないというのは、もっともな話で何でも製造者責任にしたがる情報弱者どもからの追求を避けるには、『他社ボンベ使うな!』と言い切った方が、メリットはあってもデメリットはないというのが正しい選択だと思います。使えるケド、『At your own risk』というのが消費者の取るべき立場ではないでしょうか?
    そもそも、制限だらけで細かいところに目が届かない災害時に使える様にしたんだったら、平時にそれなりの注意を払って使えない訳は無かろう。

    https://www.zetuenlife.com/entry/odkan#toc30
    引用
    CB缶は1991年の阪神淡路大震災で避難所で使われるガス缶に互換性がないことが問題になったことから、JIS規格(JIS S2147/2148)で規格が統一されて、どのメーカーのカセットコンロとCB缶でも接続することが可能になりました。

    • KANI KANI より:

      コメントありがとうございます。
      本文中にもちょっと延べていますが、

      阪神淡路大震災前のJIS規格はゆるかったのでメーカー間で互換性が取れないケースがあった
      →規格をもっと厳密にして「寸法の上では」ほぼ互換性がとれるようになった

      なのでJIS規格のおかげで、だいたいの寸法は統一されたし、実際たいていのメーカーのものが相互に使えますね。
      問題は「ガス検」のほうが他メーカーのガス缶を使うことを想定していないことなのですよね。これを何とかしてほしいところだと思っています。

      自分としては、不特定多数の読者様に向けて「自己責任でどうぞ」とは言えないので、本文はちょっと歯切れが悪くなっちゃってます。。

  6. ねこ丸 より:

    新富士バーナー パワーガス RZ-7601 RZ-760×3Pパック
    ¥847 税込を買った
    China製のバーナーには内側にOリングがない
    新富士バーナー パワートーチ RZ-720E
    ¥1,846 税込にはOリングがある
    でもボンベからガスが漏れるのって危なすぎる

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