バーベキューでの炭火の火起こしって、慣れないうちは苦労しますよね?
この記事では、スマートに炭火を起こして、バーベキュー初心者の知り合いをビビらせる方法を紹介します。
用意しておきたいもの
バーベキューコンロや炭が必要なのは当たり前として、それ以外にも必要なものがあります。
あとで説明するいくつかの火起こしで必要なものは、その説明の中で紹介します。
ここではどの方法でも必要となるものの紹介です。
火バサミ
まさか素手で火のついた炭を持つわけにもいきませんから、これは必需品と言っていいと思います。
百均ショップでも売っていたりします。100均のものはすぐに錆びたり、重い薪を扱うにはちょっとつらいですが、炭を掴む分には問題ありません。
耐久性を気にしなければ機能的には百均の物で間に合います。というか十分です。
僕は100均の物を使って、だめになったら買い換えるスタイル(とはいえ、買い替えたのはこれまでたしか2回だけ)です。
もう少し丈夫で長持ちするものが良い人は、ステンレス製のものがいいでしょう。普通に使えばおそらく一生使えます。火ばさみがだめになるのって、錆びて折れちゃったりする感じなので、錆びないステンレスは良いですよ。
ぶっちゃけ炭を掴むだけなら金属製のトングでも使えます。
手袋
手袋(グローブ)は、なくてもなんとかなりますが、安全のために使うべきだと思います。
できれば革製のアウトドア用(キャンプ、バーベキュー用)のものがベストです。全然安心感が違います。熱いものを持ったときなんかは、軍手との違いがよくわかります。
グローブは炭を持つと真っ黒になるし、革製のものはたぶん洗うことが出来ないので、あまり高価なものにするよりも、消耗品として考えて良いんじゃないかと思っています。
軍手でもいいですが、綿100%のものが必要です。化学繊維が入っているものや、滑り止めのゴムがついているのは使えません。熱で溶ける可能性があるので危険です。
ちなみに僕は軍手派です。
以前革のグローブを使っていた時期もありますが、炭で黒く汚れたり、夏場のバーベキューで汗かいても洗えないため気持ち悪い感じになったので処分しちゃいました。
軍手は洗濯機に放り込めるし、なんといっても安いのが魅力ですね。ただ安全性は革製の方がずっと上ですよ。
チャッカマン
別にマッチでも普通のライターでもいいですが、チャッカマンが圧倒的に使いやすいです。
後で述べますが、炭火をおこすと言っても、元火は着火剤等に点火するのが基本です。(例外としてこれも後に紹介するトーチ/バーナーを用いる方法もありますが。。)
着火剤に点火するのは簡単なので、目的が炭火起こし(着火剤への点火)だけであればマッチ一本で事はたります。
炭の種類
炭火の起こし方を説明する前に、炭の種類について簡単に説明します。
実は炭選びはかなり重要です。
バーベキューで使われる炭は、大きく分けて次の4種類があります。
マングローブ炭
おそらくバーベキューで一番よく使われているのがこのマングローブ炭です。
ホームセンター等でバーベキュー炭として1kgあたり百数十円くらいで売っていたりするものはだいたいこれです。
その名の通り、マングローブを原料としたものであり、東南アジアなどから輸入されているものです。
火をつけるのが最も簡単で誰にでも使いやすい一方、火持ちは悪い(燃焼時間が短い)ことが特徴です。
燃焼は、最初のうちは勢いが強く、時には炎を上げて燃えますが、1時間以上経過すると火力が極端に落ちてきます。
このように、火力が安定せず、燃焼時間も短めであり、さらに灰が比較的多い(うちわで扇いだら食材が灰だらけになったりしたことありませんか?)ので、僕はあまり使いません。
ただし、時にはコンビニでも売っているくらい手軽に手に入り、後に説明する炭に比べると火起こしが簡単なので、数年に1回しかバーベキューはしないっていう場合や、初心者同士の初バーベキューなどには良いとおもいます。
黒炭(マングローブ炭以外)
最近はキャンパーなど、バーベキューをする機会の多い人はよくこれを使います。
火付き、火持ち、火力のバランスがバーベキュ向き(それぞれの特徴が及第点)なことが人気の理由ではないかと思います。
なかでも流通量が多くて人気なのが「岩手切炭」です。こちらによると、岩手県は黒炭生産量は日本一だそうです。
僕は、黒炭はこの岩手切炭しか使ったことはありませんが、その特徴は、以下のようなものです。
- マングローブ炭ほどではないが火おこしは比較的簡単
- バーベキューに使える火力を維持するのは1-2時間程度
- 火力はマングローブ炭より安定(火力の変化が少ない)
それと、岩手切炭は形が揃っており、これが非常に使いやすいです。
価格はマングローブ炭より高くなりますが、火がつきやすく火力が安定するのでバーベキューには非常に使いやすい炭です。
オガ炭
ちくわみたいに真ん中に穴があいている事が多い炭です。
焼き鳥屋さんとか、七輪で食べるような焼肉屋さんなどで使われているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか? これがオガ炭です。
他の炭と違い、これはおがくずを固めて成形したもの(オガライト)を炭にしたものです。
特徴は以下のようなものです。
- 火がつきにくい
- 火持ちが良い(燃焼時間は3-4時間)
- 火力は安定する
- ほとんど爆(は)ぜない
価格はピンきりなのですが、国産のものだとだいたい前述の岩手切炭と同程度です。
火をつけることさえできれば火持ちがよく、火力も安定するので、僕はここ数年、キャンプでのバーベキューのときはオガ炭を使っています。
ただ注意したほうが良いのは、品質はピンキリです。ざっくりいうと国産と輸入物でだいぶ品質(価格もですが。。)に差があります。
例えば、僕が使ったことがあるもの、執筆時点ではアマゾンで一番売れているオガ炭は(純日本風の商品名ですが)中国製です。
これ、なぜかアマゾンではなかなかの高評価を得ているのですが、実際に使ってみると灰が多くでるし、その灰が炭を覆ってしまうので、十分な火力が出ないんです。
バーベキュー中に何度も灰を落としてやらなきゃならないのが面倒だったりと(国産のオガ炭を使いはじめてから思ったことですが)あまり使い勝手がいいものではありません。
ホームセンターなどで販売されているのも大抵は中国製だと思います。
とはいえ、国外製のオガ炭でもさきに挙げたマングローブ炭よりずっと火持ちもよく、火起こしさえできてしまえば使いやすいです。
僕は今は国産のオガ炭しか使っていません。店頭じゃああまり見つからないので、これは大体ネットで買っています。どうせ炭は使ってみないと良し悪しもわかりませんからね。
いくつか(といっても3つだけですが)使って、今後しばらく固定しそうなのが伊予オガ炭です。
価格は安い海外製の倍になりますが、そんなに大量に消費するものではないし、快適なバーベキューのためなら許容できると僕は思っています。
この炭は灰が少ないので、先に書いたような炭を覆う灰のせいで火力が落ちる問題は少ないです。その結果、一旦火がついたらわりと放ったらかしでも安定した火力が続きます。
その代わり、とにかく火付きは悪い(火が付きにくい)です。後に述べる備長炭と同じくらいか、あるいはそれ以上火付きが悪いように思います。
初心者が予備知識無しでこの炭に着火しようとすると挫折するかもしれません。
もちろん、本記事で紹介する方法で火起こしはできますよ。一度経験すればなんてこともないです。
以降、単にオガ炭という場合は国産品のものを意味します。
白炭
備長炭があまりにも有名ですね。最近では白炭は何でもかんでも備長炭というようになってしまっています。
特徴は前述のオガ炭とほぼ同じです 。
- 火がつきにくい
- 火持ちが良い(燃焼時間は3-4時間)
- 火力は安定する
- 爆ぜやすい
僕は自宅で小さな七輪を使うときに備長炭を使っています。オガ炭はちょっと風情がないし、七輪なので消費量が少ないので、比較的安いバラ炭を使えば財布にもそれほど響きません。
使った感じは、火の付きやすさは国産のオガ炭よりほんのちょっとだけ簡単、火持ち・火力はオガ炭と同等かちょっといいかもしれないくらいといったようなものです。
形が大きさが不揃いなバラ炭だからこそ、逆に火は付きやすいのかもしれません。
価格はかなり高いので、バーベキューで豪快に使うにはちょっと抵抗がありますね。
火起こしの前に安全確保(これ大事)
大事なことなので先に説明しておきます。
周りに燃えやすいものなどが無いことを確認しましょう。
炭が爆ぜたり火の粉が飛んだりして、周りに火が移る危険があります。
燃えやすい紙や落ち葉はもちろんのこと、各種燃料・着火剤・スプレー缶などはバーベキューする際にありがちなので注意しましょう。
服装にも注意したほうが良いです。化学繊維のものは比較的燃えやすいですし、ダウンジャケットなんて着ていたらけっこうな確率で火の粉による穴が空きます。
木綿素材は比較的燃えにくいです。もちろんあえて火をつけたりしたら燃えますが。
消火用の水などを用意しましょう。
万が一に備えて、消火用の水などを用意しておきます。
手軽で確実なのは水を入れたバケツを用意しておくことです。ペットボトルの水でも無いよりはマシですが、例えば万が一誰かの服に火が燃え移ったりした際など、バケツの水をぶちまけてやるのが一番手っ取り早い消化方法ですよね。
僕はいつも消火スプレーも用意しています。幸いにも使ったことはありませんが。
スプレー缶なので火の近くに置いちゃだめですよ。
炭火おこしの予備知識
後に炭火のおこし方を複数紹介しますが、どのやり方をするにも知っておいたほうがよい基本を説明しておきます。
これを知っておくだけで、炭火おこしもだいぶやりやすくなると思います。
火(熱)は下から上に伝わりやすい
これはなんとなくわかりますよね?
熱せられた空気は上へ上へと移動しますから、炎も上に上がりますし、熱い空気も上に向かいます。
なので、炭火は下から上へと広げていくようにするのが基本です。
熱を逃してはいけない
特に火起こしのはじめのうちの段階では、炭同士が互いに互いを熱し合うようにします。
炭から発した熱をなるべく逃さず、炭の温度をどんどん上げるようにすることが重要です。
空気をしっかり供給する
これも直感的にわかると思います。
酸素がなければ燃えませんから、炭火に新鮮な空気が供給されるようにすることが大事です。
炭火のおこし方
必要な予備知識も説明しましたので、ようやくですが、炭火のおこし方をいくつか紹介します。
チャコールスターターを使う
僕が思うに、一番簡単・確実かつクリーンな方法だと思います。基本的には僕はいつもこの方法です。
ほうっておいても先に予備知識で述べた3つの条件を満たすものです。
特に、オガ炭や備長炭(白炭)への点火はこの方法じゃないと難しいと思います。
直訳すれば「炭点火器」とでも言いますかね?
日本語では火おこし器とか言うこともあるみたいですが、キャンパーの人たちは「チャコスタ」って呼んでいます。
くわしい原理の説明は省きますが、熱を閉じ込めつつ煙突効果による上昇気流を利用することで酸素を供給し、炭に火が広がるのを促進するような器具です。
使い方は簡単です。
まず、チャコールスターターに炭を入れます。
このとき、先に説明した上昇気流がスムーズに流れるように、適度な隙間(可能であれば上から下に抜ける直線状の隙間)をあけながら炭を積みます。この上昇気流のスピードが早くなるほど火が全体に回る時間が短くなります。
オガ炭なら写真のように縦向きに並べます。
次に、適当な着火剤に火をつけて、、
その上に先程のチャコスタを置くだけです。
※ 過去に実際のバーベキュー時に撮った写真をみつけたので、ここから写真の感じが変わります。
チャコスタの下のほうで着火剤が燃えています。
マングローブ炭、黒炭はおそらくこのまま放置しておけば大丈夫です。
湿気った炭やオガ炭、白炭は着火剤一つでは足りないかもしれません。
着火剤が消えても炭に火が移っていない場合は、一旦チャコスタをどけて、着火剤を追加します。
炭に火がついてしばらく(炭によりますが10~20分程度)すると、炭が炎を上げて燃え始めます。
この炎は昼間は見えにくいので注意してください。炭が十分にもえると炎は数十センチ以上の高さに燃え上がります。チャコスタの上に手をかざしたりしないよう、子供がいる場合は特に気をつけてください。
ここで重要なのは、火が炭全体に回るまで我慢することです。炭の表面の全体にうっすら白い灰が見えるくらいまで待ちましょう。
ここでしっかり火を回しておくことで、簡単に長時間安定した火力を保つことが出来ます。
下の状態でもまだ6割程度です。
※ 完了状態の写真はありませんでした。。。
とにかく、表面のほぼ全体に火が回ったら(この時点ではちょっと怖いくらいゴーっと音を立てながら強力に燃えています)もう炭をバーベキューコンロに広げても大丈夫です。
ちなみに、僕が長年愛用しているものは、キャプテンスタッグの「大型火消しつぼ 火起こしセット」という商品なのですが、これはチャコスタとしてはもちろん、簡易的な火消しつぼとして使うことができるものです。
※ 商品名は「大型」ですが、チャコスタとしてはさほど大きくないサイズです。火消ツボとしては、まあ大型ですね。
特に火持ちの良いオガ炭や白炭は、1回のバーベキューでは燃えきらずに余ると思います。
余った炭は「消し炭」といって、新しい炭よりも火がつきやすいので、次に使うときまでとっておくと火起こしも楽になります。
こんなかんじで「消し炭」をとっておけます
BBQコンロ上で着火する
バーベキューコンロをそのまま利用して着火する方法です。
上述のチャコスタを使う方法みたいに道具がいらないので、まずはこの方法でやってみると言うのが一般的だと思います。
これは、先の予備知識の3条件をうまく実現できれば簡単に(白炭・オガ炭を除く)火が起こせます。
まずは、着火剤を一番下に置きます。
着火剤の周辺に小さな炭や、もしあれば消し炭(前回の残り等、使いかけの炭)からおいていきます。
小さい炭のほうが点火しやすいので、着火剤->小さい炭->大きい炭の順に点火するようにします。
最後にチャッカマンで着火剤に火をつけるので、そのための窓は残しておきましょう。
着火剤のあるところが小部屋になるようにイメージして、炭をおいていきます。この小部屋が重要です。熱のたまり場になると同時に、空気の通り道となります。
炭を山のように組み上げたら、チャッカマンで着火剤に点火します。
着火剤が燃え上がります。
着火剤が消えるまではそっとしておきます。ここで無理に空気を送り込もうとしても、炎がなびいてしまってむしろ炭に着火しづらくなります。
着火剤が消えた時点で、炭に火がまったく移っていなかったら失敗です。その場合は素直に最初からやり直すのが近道です。
炭に火が移っていたら、あとはほうっておけばいずれ火は回ります。せっかく組んだ炭を崩さないようにしましょう。真ん中の空間に熱を籠もらせることが大事です。
ただこれはかなり時間がかかるので、強制的に空気を送り込むのも効果的です。
ここで無心になりたい人は、火吹き棒を使いましょう。吹くたびに炭が赤く熾るのを見ていると、なぜか止められなくなってしまいます。うちわなんかよりずっと強力ですし。
一番楽なのは電動ブロワーですね。
僕は持っていませんが、一度試させてもらったことがあり、失礼ながら思ったより「使える」ものだったので驚きました。
ここでも、炭の山の内側がカンカンに赤くなるまでは炭を動かさないようにしましょう。とにかく、熱を逃さないようにすることと空気を送り込むことに集中します。
炭の山の内部全体にしっかり火が回ったら、徐々に炭を置き換えるなどして炭の全体に火が回るようにします。
BBQコンロに炭を広げるのは、炭の全体に火が回ってからです。
着火剤について
さて、これまで当たり前のように着火剤を使う前提で話をしてきましたが、本当に着火剤は必要なのでしょうか?
仲間とのバーベキューには、ワイルドを気取らずに、素直に着火剤を用意していきましょう。
マングローブ炭や黒炭であれば、着火剤として市販されているものであれば何でも大丈夫ですが、僕は透明ジェルタイプのものをおすすめします。
ジェルタイプの着火剤は主成分がアルコールなので燃え尽きてしまえば灰も臭いも残りません。百均とかにも売っていますし。
が、新聞紙はできれば避けたほうがいいと思います。
白炭・オガ炭には、ジェルタイプのものだとちょっとむずかしいように思います。燃焼時間が短いためです。
僕がいま愛用している着火剤はロゴスの防水ファイヤーライターというものです。写真に写っている白い着火剤がこれです。
防水であることは僕にとってどうでもいいことなんですけど、点火しやすくて火力もそこそこで15分くらい持続します。オガ炭の着火には持続時間が重要なので、僕は最近これをリピートしています。
ガストーチ/バーナーを使う
炭に直接バーナーの火を吹き付けて着火させる方法です。
着火するまでバーナーの火を吹き付ける方法なので、ガス切れにならない限り、そして途中で諦めない限り、絶対に着火します。
とはいえ、ゼロからガストーチ/バーナーのみで炭全体に着火するのは結構面倒です。
どちらかと言うと、前述の方法の補助的に、火が回っていない場所にピンポイントで着火させるのに使うくらいにするのが良いと思います。
ガストーチ/バーナーだけで火を起こす場合は、先の方法と同様、まずは炭で山を作り、山の内部から先に着火するイメージで使うのが吉です。
(番外編)アルコールバーナー+火おこし器
普段僕はチャコスタを使っていることは先に述べましたが、これはあくまでもBBQコンロを使う場合です。
自宅で使う小型七輪で使う炭の量は少ないです。その量だと、チャコスタはちょっと大きすぎるんです。
そこで使っているのが、この火おこし器です。以下のような底が鋳物のものの方が長持ちするらしいので、僕はこれにしました。
※ 上記のような、底が鋳物のものでないと耐久性に問題があるようです。
このタイプの火起こしは、チャコスタと違い、火が回るまで常に下から火をかけてやる必要があります。
僕はこの加熱にアルコールバーナーを使っています。
使い方は簡単で、アルコールバーナーに着火して、その上に炭をいれた火おこし器を乗せるだけです。
最後に
いくつかの炭火おこし方法を紹介しました。
どの方法でも、炭火をおこすのは意外と時間がかかるものです。炭の種類にもよりますが、30-60分くらいかかるつもりで準備をしておくと後で困ったことになりません。
僕は、バーベキューをするときは、まず最初にチャコスタで炭火おこしを仕込んでおいてから、その他の準備や食材の仕込み(野菜を切るくらいですが。。。)を始めます。
ほっておいても着火が難しいオガ炭をおこすことができるチャコスタは、一度使ったら手放せなくなりますよきっと。