最近のキャンプ人口の増加もあり、人気も上昇しているというカイロですが、僕は以前までは使い捨てカイロ派でした。
ところが、たまたまAliexpressで見かけた激安の中華カイロを買ってみたところ、その暖かさに驚き、家族分にも(なんとなくもっと信頼できそうな)カイロを追加で購入しました。
それで気がついたことは、製品によってかなり暖かさが違うということです。
結論から言うと、使ってみた体感では(新品の)中華カイロが一番暖かく、その次にハクキンカイロ、一番弱いのはZippoハンドウォーマーです。
※ ただし購入した中華カイロには後述するように重大な欠点があります。
当記事では、これら3つのカイロを実際に使用してみた上での比較・レビューを行います。
比較したカイロ
まず、今回比較した商品を説明します。
蝶々カイロ(仮名)
正式な商品名がわからないので、本記事ではその見た目から「蝶々カイロ」と呼びます。
おそらく中国のメーカーの商品かと思います。少なくとも製造は中国です。
※ 説明書も全部中国語だったので読めませんでした。。。
たまたまAliexpressで見かけて「キャンプででも使ってみよっかな」程度の感覚で購入しました。
購入時(2022年10月)は、かなり円高の時期だったにも関わらず、送料込みで約800円くらい(しかも約300円引きクーポンがあったので払ったのは500円程度)と、かなり格安なカイロだとおもいます。
同じものがアマゾンでも販売されていましたが、価格は倍以上(本記事執筆時点)ですね。
そして、先にも書いた、尋常でなく耐久性のない火口については、AliExpressの以下で購入できます。これまた安いです。
ハクキンカイロ STANDARD
ハクキンカイロ株式会社のハクキンカイロ STANDARDです。
定番中の定番ですね。
100年ほど前に、白金触媒を用いたカイロ(つまりここで紹介しているすべてのカイロのオリジナル)の発明者が創業したのが今のハクキンカイロ株式会社です。
実勢価格でだいたい3,500~4,000円くらい(寒くなる時期はちょっと高くなる)と、先の蝶々カイロみたいな安物を見た後だとなかなかのお値段ですが、おそらく人気No1のカイロだと思います。
Zippo ハンドウォーマー
前のハクキンカイロに次ぐ人気商品がZippoのハンドウォーマーだと思います。
Zippoと言えばオイルライターで有名ですが、そのオイルライターの燃料は、白金触媒のカイロにも使えるんですね。
そんなところから、Zippoも自前ブランドでカイロを販売したのかもしれませんね。
実勢価格はハクキンカイロと同じかちょっと高いくらいかな。。
アマゾンなどでは並行輸入品が安く販売されていたりもするようです。現在国内の正規品は色がブラックのみのようですが、日本国外ではカラーバリエーションが豊富です。
※ 以下「Zippoカイロ」と表記する場合があります
スペック・見た目を比較
それでは、ここからそれぞれの商品のスペックを比較していきます。
サイズ・重さ
並べた写真を見てもわかるように、3つともほぼ同じサイズです。
実際に測ってみた数値は以下の通りです。
※ 重量は燃料を入れていない状態での重さです。
ハクキンカイロ | Zippoカイロ | 蝶々カイロ | |
サイズ たてxよこx厚み [mm] | 101.8 x 68.1 x 14.2 | 101.7 x 68.1 x 15.8 | 99.1 x 68.1 x 15.2 |
重量 [g] | 80 | 71 | 83 |
特にサイズに関しては「ここまで一致するか?」っていうくらい同じサイズですね。
手に持った感じはこのようになります。
実際、ポケットに入れたりするにはちょうど良いサイズ感だと思いました。
見た目・質感等
見た目や質感の比較です。
ここはどうしても個人的な主観が入ってしまうところですので、ご了承ください。
本体
見た目に関しては、どうせ袋に入れちゃうのでどうでもいいといえばどうでもいい気がします(むしろ袋の見た目のほうが重要??)が、せっかくなので見てみましょう。
まず明らかな違いはカラーですね。
ハクキンカイロと蝶々カイロはメッキの光沢、Zippoカイロはややマット気味な黒です。
どちらが良いかは完全に好みの問題ですかね。
ぱっと見だとハクキンカイロと蝶々カイロはほぼ同じ光沢なのですが、実際に近くでよーく見ると、ハクキンカイロの仕上がりの美しさがわかります。
蝶々カイロとZippoカイロは、下地のツールマーク(金属に研磨等の加工をしたさいのすじ状の跡のようなもの)がわかるのですが、ハクキンカイロは完全に滑らかな表面です。
とはいえ、無理やり違いがないか確認するため、近くでよーく見て初めて気が付いたレベルの違いです。
フタについても、ケースに入れてしまえば勝手に外れてしまうようなものではなさそうなので、実用上は問題なさそうにも思いますが、仕上がり具合はそれぞれ違いがあります。
やはり素晴らしいのはハクキンカイロです。
スコッとはまる感じ、そしてはまったフタが程よく保持される感じ。言葉で表現するのは難しいですね。
本体よりもフタのほうがコンマ何ミリか厚みを小さくなっており、フタで本体を軽く挟み込む感じです。そしてフタと本体の当たりも滑らかで、すごい加工精度だとおもいました。
次はZippoカイロですね。
こちらはヌルっとはまる感じ。フタのはまりに適度な抵抗があるので、簡単に外れる気がしません。もしかしたらハクキンカイロよりも外れにくいかと思いました。
決して悪くないのですが、上記2つと比べると見劣りするのが蝶々カイロです。
ジョリっとはまる感じ、表面が滑らかでないので、それがそのままジョリついた感触になっています。若干フタが緩いのも気になります。
次に、これは実際に使う際に影響があるかもしれない、火口の違いを説明します。
具体的には火口の取り付けの安定性に違いがあります。
ハクキンカイロが一番しっかりはまります。
最初はちょっと固すぎるかと思ったくらいですが、数回つけ外ししたらほど良くなりました。
対して、蝶々カイロは火口の取り付けが緩くて、すぐ外れてしまいます。
使用中でも、ちょっと強めの衝撃があれば外れてしまいそうです。
Zippoカイロはその中間くらいですね。取り付けがやや緩くて、こちらも衝撃がかかれば外れてしまいそうな感じになります。
ちなみに、実際にはどのカイロもこれまで使用中に火口が外れたことはありません。
というわけで、カイロ本体の見た目は、ぱっと見では違いは見られない(どれもきれいにできている)ものの、細かい質感や使い心地の点では、ハクキンカイロが非常に優れていると思います。
専用袋
カイロはむき出しで持つとちょっと熱すぎるので、基本的には袋に入れて使うことになります。
実際に手に持ったときは、この袋によって感じる暖かさに違いがあると体感しました。
ハクキンカイロ
柔らかいフリース地の袋です。肌触りがいいです。
片面に写真のような大きなラベルが縫い付けられています。個人的にはこれいらないのですが、まあ好みの問題ですね。
口はベルクロ(マジックテープ)でしっかり止められるようになっており、しっかりした作りです。
他の2つと比べると若干厚手の生地なので、手に持ったときにカイロの暖かさがすこし和らぐ感じになります。
Zippo ハンドウォーマー
こちらもハクキンカイロと同様フリースのような生地ですが、ハクキンカイロのものよりも毛足が短く、薄手の生地です。
ハクキンカイロの収納袋と違い、巾着のように紐で締めるタイプです。
ベルクロのものと比べてどちらがいいかというと、個人的にはどちらでも使いやすさ等に違いはないと感じています。
生地がやや薄手なので、(同じカイロを入れれば)手に持ったときは暖かく感じます。
※ ただし、後に述べるようにZippoカイロ自体の温度はあまり高くならないので、袋に入れた状態でもハクキンカイロのほうが暖かく感じます。
蝶々カイロ
ベルベット(?)のような生地で3つの中ではいちばん薄手です。
薄手なだけに、手に持ったときの暖かさはいちばん感じられます。
巾着袋になっていますが、生地が硬めで紐が細くて滑りやすいため、紐で締めてもすぐに開いてしまいます。
紐で締めたらちょっと結んで口が開かないようにする必要があるのがマイナスです。
あと、生地の表面にすぐホコリが吸い付いて汚らしくなります。
※ 写真はコロコロできれいにしてから撮りました。
液入れ
本体に燃料を入れるための液入れ(注油カップ)については、ハクキンカイロのものに大きな特徴があります。
燃料の量を測るときは下の写真の左側のように、本体に取り付けます。
燃料をカップの目盛線に合わせたら、写真右側のようにカップを90度回転させます。
すると、燃料が本体の中に流れ込んでいくという仕組みです。
なかなか良く出来た仕組みだと思いますが、これが使いやすいかといえば、僕はそうでもないように思います。
というのも、12時間分の燃料を図るメモリがカップの上端にかなり近い位置にあるので、ここまで燃料をいれると容器の上ギリギリまで燃料を入れることになるため、ちょっと傾けてしまうだけでオイルがこぼれてしまいます。
もうちょっと余裕のあるサイズだったら使いやすかったかもしれません。
Zippoカイロと蝶々カイロは、下の写真(下の2つ)のようなものです。
これらは直感的に使い方がわかるし、実際使いやすいと思います。
個人的には、蝶々カイロのものがいちばん使いやすい(燃料をこぼしにくい)と思いました。見た目はいちばん安っぽいですが。
※ Zippoカイロは本体側のオイルを注入できるところが小さな穴なので、付属している(写真左下の)口が細い注入カップでないと使えません。
ちなみに、各注入カップの目盛り線と容量を測ってみた結果は以下です。
目盛り1 | 目盛り2 | 公式使用法 | |
ハクキンカイロ | 7ml (6.75ml?) | 12.5ml | 目盛り2を1杯で12時間 目盛り2を2杯で24時間 |
Zippoカイロ | 20ml | 目盛り1のみ | 一杯で12時間(?) |
蝶々カイロ | 7ml | 10ml | 不明 |
Zippoカイロの説明書は捨ててしまったので忘れましたが、カイロ自体は12時間暖かいというもののようです。
蝶々カイロも説明書が中国語のみだったので読まずに捨ててしまいました。こちらもパッケージには12hoursとかって書いてあったので、Zippo同様12時間対応なのだと思います。
ハクキンカイロだけ、何故か燃料をたっぷり入れることができる仕様となっており、そのときの持続時間は24時間(室温0℃の場合のスペック値)です。
温度・においの違い
体感として
まず、それぞれのカイロをそれぞれの袋に入れた状態で使ってみた感想です。
手に持ってみていちばん暖かいのは蝶々カイロです。
僕の場合、最初にこの蝶々カイロをつかってから、ハクキンカイロ・Zippoカイロを購入したのですが、最初は「ハクキンカイロはあまり暖かくないな」と思ったくらいの違いを感じました。
ただこれは、袋の生地の違いが大きく影響していることがわかりました。
ハクキンカイロと蝶々カイロの袋を入れ替えると、生地が薄い袋に入れたほうが暖かく感じました。
ところで、Zippoカイロですが、これは他の2つと比べると明らかに暖かくありません。
袋に入れてしまうと、使い捨てカイロ以下の感覚です。袋から出して直接触っても「あちち」とならないくらいです。(ハクキンカイロは熱くて持てないくらいになります)
匂いについて
Zippoのライターオイルだろうとハクキンカイロ推奨のベンジンだろうと、臭いです。
どのカイロも臭いです。
その中でも使用しているときにいちばん燃料臭いのはZippoハンドウォーマーです。
ハクキンカイロと蝶々カイロは同じくらいですね。
匂いの強さですが、例えば外で歩いているときはほぼ感じません。これはZippoカイロでもそうです。
キャンプなどではテント外なら気にならないのではないかと思います。
自宅でじっと座ってテレビを見たりしている場合は臭います。上着の内ポケットに入れるなどしても匂いは出てきます。
使っている本人はなれちゃうから多少臭っても平気になってしまいますが、レストランなどでは気をつけないと、周りに迷惑になっちゃうかもしれません。
温度測定
せっかく3種類のカイロがあるので、同じ条件での温度を実際に測って比較してみました。
この比較では、燃料としてハクキンカイロ推奨のN.T.ベンジンをそれぞれ10ml使いました。
そして、収納袋は使わず、同じタオルで上下を挟むようにしましました。
温度は本体の真ん中あたりで計測しました。
ちなみに、上の写真の一番右は使い捨てカイロです。
たまたま自宅にあったもの(アイリスオーヤマの12時間タイプ)も一緒に温度を見てみました。
そして、測定した結果のグラフがこちらです。
いちばん温度が高くなるのがハクキンカイロでした。
そして、Zippoハンドウォーマーは、ハクキンカイロより10-15℃も低い温度にしかならないという結果です。使ってみるとこの差は大きいです。
使い捨てカイロにも負けちゃっています。。。
持続時間は、温度が高いハクキンカイロが一番短いという結果です。
これは、温度が高いぶん、ベンジンが早く気化するので当然そうなってしまいますね。
おすすめカイロは?
おすすめするとしたら、これはもう「ハクキンカイロ」ですね。
非常に高精度な加工で作られており質感も最も高く、暖かさもトップです。
※ 厳密には新品の蝶々カイロのほうが多分暖かいですが。。何しろ火口の寿命が短すぎる。
Zippoハンドウォーマーはかなりの期待外れでした。
ハクキンカイロと同じくらいの価格なのに、はっきり言ってすべての面でハクキンカイロに劣ります。
Zippoというブランドに価値を見出す場合を除いて、あえてこれにする理由は見当たりません。