始めて自分で買ったテントに付属していたペグは、アルミのピンペグでした。これは初キャンプのときにもうだめだとわかったので、すべて鍛造ペグ(ソリッドステーク)に買い替えました。
初めてのキャンプでおそらく初めて使う道具なのに、テント付属のペグの多くはダメダメなんですよね。
多くのキャンパーが、まず最初に買い替えたいと考えるのがペグなのではないかと思います。
僕もそうでした。そして、今でもこの時に買った鍛造ペグをメインで使っています。
鍛造ペグって、巷では最強のペグと言われていますよね?
確かに、打ち込むのに関しては最強です。
ただ僕は、抜けない事がペグの本分だと思うので、はっきり言っちゃうと比較的抜けやすい鍛造ペグを最強と言ってしまうのはフェアでない気がしているんですよ。
この記事では抜けにくいペグの打ち方、選び方のヒントになる情報を中心に紹介していきます。
抜けにくいペグの打ち方
ペグを打ち込む角度
ペグを打ち込む角度について調べてみると、張り綱に対して90°がいいという説から、地面に対して60°や90°(垂直)がいいという説などいろいろあって、それぞれにもっともらしい説明があったりするんするんですよね。
じゃあ正解は何度なの? ってことになりますが、これは僕にもわかりません。
っていうか、そんなの張り綱の角度や土壌の状態次第で変わるに決まってるじゃないですか。おそらくペグの種類(長さや形状など)によっても変わりますね。
参考:
この動画の実験(これペグ?)では、常に地面に対して90°が抜けにくいと言ってます。
こちらでは、90°のほうが抜けやすいという結果です。
最初のほうの動画では、テントに使うようなペグとは言えないものですけど、比較実験としては参考になると思います。
2つ目の動画のほうは、摩擦抵抗が少なそうなペグを使っていることが影響しているのかもしれませんね。
これらの参考例からもわかる通り、ペグを打ち込む角度は、一概に何度がよいとは言えないのではないかと思います。
基本的には、張り綱の角度が地面に対して浅くなるように広く張る、そしてペグは張り綱に対しても地面に対しても90°に近い角度で打ち込むことが理想ですね。
ただ、これは特に区画サイトではスペースの関係で難しいので、なかなかそうもいかないですね。
そして、一番重要なことは、地面の状況などに応じて、60°だろうと90°だろうと抜けないようなペグを使ってしっかり打ち込むことだと思います。
ペグは深く打ち込むことが重要
打ち込む角度はまあ状況次第として、それ以前に忘れてはならないことがあります。
ペグは張り綱が地面ぎりぎりになるくらい深く打ち込まなければなりません。
上図左側のように、地面から高い位置に張り綱があるのはだめです。
てこの原理により、張り綱に引っ張られる力に対して弱くなってしまいます。これなら短いペグを使って同じ深さまで打ち込んだほうがずっと抜けにくくなります。
サイトが硬くてペグを打つのが大変なときでも、中途半端な打ち方をしてはいけません。
長いペグが打ち込めないくらい硬いサイトであれば、短いペグで大丈夫です。用意しているものがある場合は、素直に短いペグに切り替えましょう。
抜けにくいペグ
それでは、抜けないペグって何なのよ、っていう話です。まず、抜けにくいペグの条件について整理します。
抜けにくいペグの条件として影響が大きいのは以下になります。
表面積が大きい
表面積が大きいと、その分周囲の土に触れる面積が大きくなり、その分摩擦抵抗が大きくなります。結果として、抜けにくくなります。(当然打ち込みにくくもなります)
ペグじゃなくて割り箸をつかったものなんですけど、こちらのブログ記事にある実験がおもしろいです。家で簡単にできるので、ご飯をたく前にやってみてはどうでしょう?
これ、割り箸を細い竹串にすると持ち上がらずにスルッと抜けちゃいます。
米と割り箸や竹串を、土とペグに置き換えても同じことが言えるわけです。
力のかかる方向に対する断面積が大きい
力のかかる方向(張り綱がペグを引っ張る方向)の断面積が大きい方が抜けにくくなります。
例えばボートのオールで水をかく時に、単なる棒で漕ぐのと、水の抵抗を受けやすいオールで漕ぐ場合に必要な力の違いを考えるとなんとなくイメージできると思います。
長い
ペグが長ければ、その分断面積も大きくなるので抜けにくくなります。
さらに、大抵の土壌は深いところのほうが固くなっているので、長いほうが固い土壌にしっかり食い込みやすくなると思います。僕は感覚的にこっちの影響が大きい気がしています。
太い
ペグが太いと、刺したときに押しのける土の量もその分多くなります。
押しのけた土はペグの周りで固く凝縮されるので、その分抜けにくくなります。もちろん表面積も大きくなりますしね。
ペグの種類
いくつかの代表的なペグの特徴について説明します。
とはいえ、自分で使ったことのないものの説明はちょっと難しいので、ここでは僕がこれまで使ったことのあるペグを中心に紹介します。
実際に使っている(使っていた)ペグ
最初のテントに付属していたアルミのピンペグ(これはメリットなし)を除いて、僕が使っている(使っていた)ペグは以下の3種類だけです。
鍛造ペグ
スノーピークのソリッドステーク(30cm)です。少なくとも僕がよく行くエリアのキャンプ場のサイトは、ほとんどの場合かなり地面が固いです。なので、今でもほとんどの場合、これを使っています。
ただ、抜けやすい形状を長さでカバーする(そして長くても簡単に打ち込める)ペグなので、長めのものが必要になります。さらに素材自体が重いので、十数本用意するとなるとかなり重くて嵩張ります。
最強という人も多いソリステですが、そのサイズと重さから、オートキャンプでないと辛いっていうのはあると思います。
ソリッドステーク以外にも、村の鍛冶屋のエリッゼステークや、最近はその他色々と似たものが出てきていますね。
プラスチックペグ
(現)キャンパルジャパンのプラペグです。この製品、プラペグのくせに結構値段が張るのですが、丈夫なポリカーボネート製ということで選んでみました。
プラペグをバカにする人もいますが、太くて表面積が大きいため抜けにくい。さらに軽いうえに明るい色のものが多いのでよく目立つという、これだけ見ればまさに最強のペグなんです。
ただ、一つ致命的な弱点があります。とにかく刺しにくいんです。
抜けにくいんだから刺しにくいのは当たり前なんですが、問題は強度が弱いことです。
ソリステみたいに多少硬い地面でも力ずくで打ち込むなんてことができません。ソリステを打ち込む感覚でガンガンたたこうものなら、間違いなく割れると思います。
うまく打ち込んでも、今度は抜くのが大変です。僕の場合は抜くときに折ってしまったもののほうが多かったです。
僕は、鍛造ペグを使うには不安な柔らかめの地面に使うため、サブとしてたまに使っていました。
それも結局、抜く際に折れた場合の残り回収が大変(地面の中で折れたりすると、掘り出さなきゃいけない)で、使わなくなってしまいました。
ただ、柔らかめの地面で使うぶんには本当に良いペグだと思います。
アルミ製Y字ペグ
上から順に、MSRのタープに付属していた長さ19cmくらいのもの、同じくMSRのタープに付属していた長さ25cmくらいのもの(ネジネジタイプ)、謎の中国ブランドの25cmアルミY字ペグです。
MSRのペグの方は、Y字というか、手裏剣みたいな感じの断面です。(下の写真の左側2つがMSRのペグです)
そして、真ん中のペグだけスクリュータイプなのがわかるでしょうか?
今はこれらが上のプラペグの後を継いでサブの役割をはたしています。
特に使っているのは中国ブランドの一番ごついやつですね。
大きい方のペグはソリステより抜けにくく、さらに横方向の力に対しても断面積が大きい分強いです。
ちょっと柔らかめの地面ではいい感じです。鍛造ペグよりずっと軽いのもプラスポイントです。
プラペグより強度もあるので、打ち込みやすいです。
特に中国メーカーのやつは、ソリステと同じ感覚でガンガン打ち込んじゃえます。このあたりは、V字やU字のベグと比べても、構造的に曲げに強いはずです。安いから遠慮がいらないのもプラスです。
MSRのほうはもったいない(仕上がりとか本当に美しい)ので、足で踏んで打ち込めるくらいのサイトでしか使っていないです。そもそもスクリューっぽいやつ(サイクロンステイク)の正しい打ち込み方知らないし。。 →普通にハンマーで叩けば打ち込めます。
とはいえ、多くのキャンプサイトでは鍛造ペグで十分な硬さ(鍛造ペグでも抜けにくいくらい硬い)、そして鍛造ペグじゃないと打ち込むのが厳しい硬さでもあるため、これもやはりサブ扱いです。
最強のペグ
結局のところ、抜けにくいペグは刺しにくいので、どのペグがベストなのかはサイト次第ですかね?
僕の場合、どれか一つしか使っちゃいけないと言われたら、間違いなく鍛造ペグを選びます。ただ、どれが最強ペグかと言われたら、大型のアルミY字ペグになるかなあ。
ソリステの長さ
僕が使っているのは全部30cmのものです。
理由はあまり経験のない頃に全部30cmのものを買っちゃったからです。
今では、やりすぎだったと思っています。
僕の行くキャンプ場はほとんどの場合地面が固いです。
なので、タープのメインポールみたいな強い負荷に耐える必要があるところ以外は、20cmで充分に思えます。
30cmの鍛造ペグを20本くらい持っていくとなると、かなり重くなるんですよね。
とはいえ、最初に30cmのものを買っちゃったし、鍛造ペグは丈夫なんで数が減ることもなく、今でもそのまま使い続けています。
40とかのさらに長い鍛造ペグについては、その必要性を感じたことはないです。
40cmのペグを使わなければならないような柔らかい地面だったら、鍛造ペグじゃなくても打ち込めると思います。そのような場所では、もっと軽くて安くて抜けにくいペグ(例えば先のy字ペグ)が良いと思っています。
最強のペグハンマー
ちなみにペグハンマーについては、僕にとって最強なのはこいつです。
多くのキャンプ上の地面が硬いサイトでは、テントにはじめから付属しているペグやハンマーはほぼ使い物になりません。ハンマーに至っては、そのへんに転がっている石で叩いたほうがマシだと思えるものも多いです。
テントに付属しているものは予備として持っておけばいいと思います。
当初しばらく僕が使っていたのは、スノーピークのペグハンマーPRO.Cですね。ファミリーキャンパーの多くの人がたどる道だと思いますが、ソリステと一緒に購入しました。
その後、プラペグを使っていたときにはプラペグ用に100均のゴムハンマーも使いました。(これは子供のお手伝い用に今でも使っています)
話をスノーピークのペグハンマーに戻します。これ(ペグハンマーPRO.C)は、ヘッドが銅で出来ているので、使っているとそのヘッドが潰れてきます。(潰れることで衝撃を吸収し、効率よくペグに力を伝えるらしいです)
それでもやっぱり硬いサイトではそれなりにペグ打ちは大変なんですよね。
そんなとき、キャンプ場の人が使っているのをみて教えてもらったのが、「石頭ハンマー(せっとうハンマー)」というものです。
写真を見てもわかるように、頭の部分は鉄のかたまりです。重いです。
この重さ(1Kg以上)に最初はちょっと躊躇しましたが、考えてみればソリステを20本持っていく時点で、すでに重量は諦めてますよね。
とにかく重いだけに、ペグはガンガン地面に入っていきます。銅のヘッドを使ったりなんかの工夫をしするよりも、結局重量が物を言うのですね。
一度これにしちゃうと戻れません。
強度が弱いペグにつかうとすぐに曲がっちゃうと思います。
これは、アウトドアショップではなく、ホームセンターなどで売っていますよ。
おそらく価格は1,500円程度です。スノーピークのペグハンマーの交換ヘッドより安いです。。
ちなみに、石頭ハンマーにはもちろんペグ抜きがついていません。ソリステだったら丸穴にもう一本のソリステをいれてグリグリ引き抜くやり方なのでペグ抜きは不要ですけどね。
上記のアマゾンの商品ページにも、上で上げた悪い見本みたいな使い方の写真があります。このペグだと必然的にそうなってしまうので。。
夜間の目印として使うには良さそうですが、力のかかる張り綱の固定に使うには向いていませんね。ロープの固定位置がLEDの下だったらよかったのに。。