カブトムシ・クワガタの捕まえ方

夏場の子連れファミリーキャンプでの楽しみの一つに、昆虫採集がありますね。

僕の場合、キャンプ場ではバナナトラップを使ったカブトムシ・クワガタ採りをすることが多いです。

この記事では、バナナトラップが有効な理由と、その作り方、トラップの仕掛け方について紹介します。

カブトムシ・クワガタを採集する前に
捕まえたカブトムシやクワガタを飼育する場合は、事前に飼育する環境を用意しておきましょう。飼育方法は以下の記事にまとめたので参照してください。
カブトムシ・クワガタの飼い方
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飼育可能な数にも注意してください。飼いきれないほどの数を持ち帰ると持て余してしまうので、自分が飼育できる数だけを厳選して持ち帰るようにしましょう。

カブトムシ/クワガタが採れる場所・時期

場所

あたりまえのことですが、付近にカブトムシやクワガタが生息しているところでないと採れません。

では、カブトムシやクワガタがどのようなところにいるかというと、クヌギやコナラの多い雑木林になると思います。

杉などの針葉樹林にはほとんどいないと思ってください。

時期

カブトムシやクワガタはやつ休み期間などの真夏に多いイメージを持っている人が多いと思いますが、実際にはもう少し早い時期のほうがよく採れます。

地域によって違うとは思いますが、例えば関東の平地であれば以下のイメージです。

  • クワガタは6月中旬~8月中旬
  • カブトムシは7月初旬~8月下旬

ただ、これはあくまでも目安であり、実際にはもっと幅があると思います。
例えば、暖かい地域ではもっと早い時期から取れると思いますし、寒冷や時期や標高が高い場所ではもっと遅い時期になるかと思います。

カブトムシやクワガタを引き寄せるには?

さて、ここからカブトムシやクワガタを採るためのバナナトラップについての説明になりますが、その前に、効果のあるバナナトラップを作るための予備知識を簡単に説明します。

まず、カブトムシやクワガタがどうやってエサである樹液を見つけているのかを知ることから始めます。

以下は、Wikipediaからの引用です。

カブトムシは樹液の糖分が樹皮の酵母や細菌によって発酵した産物であるエタノール(エチルアルコール)や酢酸などの匂いを頼りに餌場を探すため、この習性をトラップに利用することができる。よく子供向けの本に紹介されている樹木に蜂蜜や黒砂糖を煮詰めたものをハケなどで塗る方法は、蒸発したり雨で流れたりして効果が持続する時間は長くない。このため広く使われるのはバナナトラップというものである。

出典 : カブトムシ | Wikipedia

カブトムシは、エタノールや酢酸などの匂いでエサ場を見つけているんですね。

実は、バナナトラップもこの習性を利用してカブトムシやクワガタをおびき寄せるものなのです。 

いきなりバナナトラップの作り方に入る前に、まずは自然界の樹液がエタノールや酢酸の匂いを出すしくみについて考えてみます。

このあたりの話はどうでもいいという人は、バナナトラップの作り方まで飛んでしまっても大丈夫です。

カブトとノコギリクワガタ

樹液からエタノール・酢酸の匂いがするわけ

上記のWikipediaからの引用にもちらっと書いていますが、エタノールや酢酸は、樹液が発酵することによって作り出されています。

この発酵には、以下に説明する2種類の発酵があります。

アルコール発酵

糖を分解し、エタノールと二酸化炭素を生成するのが、アルコール発酵です。

アルコール発酵は、以下の化学式で表されるように、エタノールと二酸化炭素を発生します。

   C6H12O6(ブドウ糖) → 2C2H5OH(エタノール) + 2CO2(二酸化炭素)

アルコール発酵は、嫌気性発酵という、酸素がない環境で活発になる発酵です。
このことは、バナナを発酵させる際に重要なポイントになります。

樹液のアルコール臭は、樹液に含まれる糖分が、アルコール発酵により生成されたエタノールの匂いなのです。

酢酸発酵

次に、ブドウ糖が発行して出来るエタノールをさらに分解して酢酸を生成するのが、酢酸発酵です。

酢酸発酵の化学式は以下のようになります。

  C2H5OH(エタノール) + O2(酸素) → CH3COOH(酢酸) + H2O(水)

この式を見てもわかるように酢酸発酵は、アルコール発酵と違い、好気性発酵という酸素が必要な発酵です。このこともバナナトラップを作るうえで重要なポイントになります。

樹液の酸っぱいような匂いは、このような反応で生成された酢酸によるものなのです。

よく効くバナナトラップを作るには?

カブトムシやクワガタがよく集まるバナナトラップを作るには、バナナをアルコール発酵と酢酸発酵で発酵させることにより、エタノール・酢酸の匂いを出すようにすることが必要です。

ではこれから、これらの発酵をうまく利用したバナナトラップの作り方を紹介します。

バナナトラップの作り方

バナナトラップの材料

まずは、バナナトラップの材料について説明します。

以下の分量については、バナナトラップ1つ分の目安です。複数のトラップを用意する場合は、適宜分量を増やしてください。

とはいえ、以下の分量はかなりざっくりしたものです。感覚的な分量だと思ってください。実際に僕もわざわざ計量したりしていません。

毎回適当な分量を混ぜて作っていますが、カブトムシ等の集まり具合に差があるような実感はありません。

必須
  • バナナ : 1本
オプション
  • 砂糖 : 大さじ1杯
  • ドライイースト : 小さじ1杯
  • 焼酎等の酒類 : 50cc
  • 食酢 : 20cc

バナナ

バナナトラップなのでもちろんバナナが必須です。

基本的にどんなバナナでも良いですが、理想はよく熟れて甘くなったものです。ブドウ糖がたっぷりだといいですね。

例えば、食べきれなくて冷凍しておいたものなどでも十分です。

砂糖・ドライイースト

どちらもアルコール発酵を速く進めたい場合に入れると良いです。

砂糖はアルコール発酵の原料になります。よく熟れたバナナを使うときは入れなくても良いと思います。

ドライイーストは発酵を速めるために入れます。発酵させる時間が充分に取れる場合は不要だと思います。

焼酎

エタノールを補充するためのものです。

バナナの発酵がしっかりできていれば不要だと思います。

バナナトラップを仕掛けた直後から強力な匂いを出すためには有効だと思っています。

酒の種類は、焼酎でなくても(ビール、ワイン、日本酒など)大丈夫です。
未成年の人は無理して手に入れるほどの必要性はないでしょう。発酵を十分にするだけで充分です。この後で説明する発酵させるための時間を2~3日増やせばよいと思いますよ。

酢酸を補充するためのものです。

これもバナナの発酵で生成されるものですが、ちょっと注意が必要です。

この後に説明するバナナトラップ造りの工程では、酢酸発酵はおきません。
酢酸発酵はバナナをビニール袋から出した時から始まります。

嫌な匂いが強いこともあり、普通はトラップを仕掛ける直前まで発酵したバナナをビニール袋に入れておくと思います。
そのため、トラップ設置直後から酢酸臭を出すためには、酢を入れておくほうが良いでしょう。わざわざあとから入れる必要は特にないです。最初から全部の材料を混ぜちゃってOKです。

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手順

1.バナナを適当なサイズに切る

バナナを皮ごと1cm程度の輪切りにします。

バナナ輪切り

これは人によって様々なやり方をしているようです。
皮ごと丸のまま使う人もいますし、全部潰してしまう人も多い(むしろこのやり方のほうが主流?)です。

僕の場合、ぐちゃぐちゃバナナはトラップの設置や回収時に吐きそうになるため、輪切りのまま潰さずに使います。

2.すべての材料をビニール袋に入れる

切ったバナナをビニール袋に入れます。ビニール袋は密閉しやすい丈夫なものがよいです。
ジップロックなどのチャック付き袋が使いやすいです。

バナナ+砂糖

ジップロックにバナナ(皮ごと)と砂糖・焼酎・酢を入れます

材料を入れたらビニール袋の口をとじてください。

バナナ+焼酎

材料をすべて入れたら、袋の口をしっかり閉じます。

袋の口を閉じるのは、先に述べたようにアルコール発酵が嫌気性発酵なので、余計な酸素を遮断するためと、ちょっと嫌なにおいが出てくるのでそれを防ぐためです。

3.暖かいところに置く

日当たりの良いところなど、暖かいところに置きます。

アルコール発酵が一番活発になる温度は30~40℃です。

夏場の昼間に日当たりのいい場所においた場合で、以下の期間熟成させるのが目安です。

  – ドライイーストを入れた場合は半日から1日(午前中にに発酵を始めて夕方にはできるくらい)
  – ドライイーストを入れない場合は2~3日程度

アルコール発酵が始まると、二酸化炭素が発生するのでビニール袋が膨らんできます。
あまり膨らんで破裂しないように、適宜ガス抜(中の空気を逃がす)きをしてください。
※ バナナから細かい泡が出てきて袋が膨らんでくるのはうまく発酵が進んでいる証拠です。

バナナ+発酵

写真の用にダンボールに入れる必要はありません、ただ、万が一発酵が進みすぎてビニール袋が破裂したりしたときのために何らかの対策はないよりあったほうが良いと思います。

これでバナナトラップの材料は完成です。

バナナトラップの設置と回収

場所

基本的にはカブトムシやクワガタが生息している雑木林であればどこでもよいです。

昼間は土の中や朽木の中にもぐっているため、地面が柔らかい場所や朽木の近くなど、カブトムシやクワガタが隠れていそうな場所を見つけることが出来れば、その近くの気に設置するのが良いかと思います。

トラップを仕掛ける位置はカブトムシやクワガタを捕まえやすい位置でよいです。
無理に木の高い位置に設置する必要はありません。設置や回収が簡単な手の届く位置に仕掛けておくようにしましょう。

時間帯

カブトムシやクワガタは、日の入り頃に活動を始めます

そして、一旦餌場を見つけると、ライバルに追い払われない限りその場に留まったままあまり移動しません。

カブトムシたちが活動を始める日の入り前にはトラップの設置を終えておくようにしましょう。

周囲に危険(不安定な足場や蜂の巣など)が無いことを確認したり、トラップの設置を楽にするためにも、明るいうちに済ませておくのがベストです。

設置方法

バナナトラップのしかけ方には、大きく分けて下の2通りあります。

木に直接塗る

潰したバナナを直接木の幹に塗ります。

数日以内に跡形もなくなるので、場所によっては回収の必要がなくなるため、楽な方法です。

公園や遊歩道脇など、昼間に他の人が立ち入りやすい場所の場合は、水で流す等の後始末が必要です。
強い匂いが迷惑になることと、昼間はスズメバチが寄ってくることがあり危険なためです。
ネットに入れてぶら下げる

バナナをストッキングやキッチンで使う生ゴミネットなどに入れて、木の幹にぶら下げます。

バナナトラップ ネット

木の幹に接するように設置するのがポイントです。

木の枝からネットをぶら下げるようにすると、カブトムシたちはなかなかトラップを見つけることができないようです。

回収が楽で、数日は再利用できるので、日替わりでいろいろな場所を試してみることもできます。

木に塗る場合と同じく、場所によっては昼間のうちは一旦回収する必要があります。
さらに、最後に使ったあとの回収を絶対に忘れないようにしましょう。
ネットを放置してしまうのは、ゴミを捨てるのと同じことになってしまいます。

確認・回収

トラップを仕掛けてしばらくしたら、カブトムシやクワガタが来ていないか確認します。

最もカブトムシやクワガタを採りやすい時間帯は、20~22時頃といわれています。

一旦エサにありついたカブトムシゃクワガタは、簡単には場所を移動しません。一晩で何度か確認する場合でも、2時間に一回確認に行くくらいで充分です。

僕の場合、バナナトラップを仕掛けるのはキャンプ場の場合が多いので、消灯時間である21~22時前に一回確認し、そのまま回収してしまうことがほとんどです。

先にも述べましたが、その日のトラップの確認がすべて終わったら、回収・後始末を忘れないようにしてください。

虫除けは使っても大丈夫?

カブトムシ・クワガタを捕まえに行くのはいいけど、虫刺されは心配ですよね?

そんな時、虫除けを使いたくなりますが、それってカブトムシやクワガタに害はないのか心配になりますよね?

結論から言うと、直接肌に塗るタイプのイカリジンやディートが主成分のいわゆる「虫除け」であれば大丈夫です。

イカリジン・ディートは蚊やアブなどの虫に対して忌避効果(虫を寄せ付けない効果)はありますが、殺虫効果はありません。

とはいえ、虫除けが付いた手で直接虫を触ることは避けるようにしたほうがいいかもしれません。
殺虫効果がないとはいえ、忌避効果かある薬品がつくことで悪い影響がある可能性は高いと思います。このあたりは実際に確かめたことはないのでよくわかりませんが。。。なんとなくかわいそうですよね。

シールタイプやリングタイプのものも(虫除け効果はやや落ちますが)大丈夫です。
↓よく効く虫除けについてはこちらの記事を参照してください。

一方、蚊取り線香や電池式の蚊とり器(アース製薬のどこでもベープ等)のような、殺虫効果があるものは使えません。
最悪の場合、せっかく捕まえたカブトムシ・クワガタが死んでしまいます。

↓こういうタイプのものはだめ

もちろん殺虫剤は絶対にダメです。

他に用意しておきたいもの

軍手

暗い中で林の中の足元が不安定な場所をあるくので、とっさに木の枝や幹を掴んだりすることがあります。

棘が刺さったりしないよう、軍手などをしておくと安全です。転んだりすることもよくあることですしね。

懐中電灯

暗い時間帯に行くなら必須です。

手持ちタイプよりも、両手が使えるヘッドライトの方が便利です。

ヘッドライトの場合も、以下のような比較的広範囲を照らせるタイプのものが望ましいです。

その他

虫かごは忘れませんよね?

虫除けもあったほうが良いですが、カブトムシについてしまわないように注意してください。

虫さされや擦り傷対策には、長袖・長ズボンで行くことをおすすめします。

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